メッセージ

今日は、山本敏晴さんの「HIV/エイズとともに生きる子どもたち」の写真展に行ってきました。ケニアは行ったことがあるので、他のアフリカよりも、親近感というのでしょうか、目をつぶるとスウッと記憶から匂いや音をたどることができます。
そして、写真展。とても良かったです。3枚の写真のセットによって、一人一人の子供たちの大切なものの物語が語られているのですが、語られていることが、その一人の子供を越えた大きなメッセージとなって、私たちの心に届くものでした。本当に感動しました。
会場に山本さんがいらしたので、緊張してロボット人形のような歩き方だったような気がしますが、医師でもある山本さんにずうずうしく探している本の相談をしてしまいました。
 
ニバルレキレでの活動は、「『エイズとともに生きる人々』とともに生き支える活動」なのだけれど、「エイズとともに生きる」ことは壮絶な重さを抱えることです。それがとくに、社会的な環境が苛酷であればあるほど。子供であればあるほど。そして同時に、エイズとともに生きていく決心をした人や家族やコミュニティから私たちは、命にはこれほどまでに力があり、輝きがあるのだ、ということを教えられます。また、エイズの問題は、社会や個人としての、私の生き方を問う1つの大切なテーマです。また、他国のこの問題を知ることで自分たちの足元を知り、また他国の人たちのもつ価値観や歴史や精神性といったものを尊重することの大切さを知ることができます。
こういった、多くの大切なこと、ニバルレキレでは四苦八苦して、伝えられえいるのだろうか?と悩む月日。

決して数は多くはない写真パネルとキャプションで、音楽のような美しさの中で大切なことを語れてしまう山本さん。改めて感服しました。本当に見に行ってよかったです。帰りはニバルレキレの活動についていろいろと考えていました。
結論は、頑張ろう!です。
そう。頑張ろう!

会場でも販売されている本を購入してきました。
うちの子供が、寝る前に一生懸命にケニアエイズとともに生きる子どもの写真とお話を読んでいました。親のワークショップや展示会で見聞きしなれている世界のせいか、じいっと真剣でした。


それから今日の出来事。
電車の中で出会った私学に通う小学2年生の子供。分厚いメガネの奥から大きな目をキラキラさせて、なんだか話したそうにしていて、ついその子が降りるまで、おしゃべりしてしまいました。
ポケモンが大好きらしくて博士ぶりを発揮していました。とっても元気ないい子なので、そのことを伝えました。すると。
「だめなんだよ。僕。学校の友達は他の話をしたいみたいだし、学校で僕は勉強ができないの。だから、おうちでもお姉ちゃんは勉強が終わるとママと遊べるんだけど、僕はあんまり遊べないんだ。ゲームがしたいんだけど、なかなかできないの。」とその子が答えました。
ゲームは、個人的には私も勧めないけれど・・小学2年生の子が自分のことを駄目なんだ・・って初めて会った私に話している。気づくとその子の頭をなででいました。
今おばちゃんとおしゃべりしてる君、とっても元気でイイ顔していて、すごくいいと思うよ!勉強が得意じゃなくても君はイイ子だと思うけど。その子はわかったような、わからないような、不思議そうな顔で私を見ていました。
元気に手を振って途中で降りていったけれど、あの後は帰宅して勉強したのかな・・。

前にもこんなことがありました。
ニバルレキレの活動で、都内にある小学校の総合学習の時間に、お話と写真や子供の絵の展示に行ったときのことです。
途中の休憩時間に、皆で好きに工作作品に触ったり、写真を見てまわったり、地図を見たりして過ごしていました。たいてい学校だと、何人かの人懐こい子供が近くに寄ってきます。

暑い夏に体育館で行ったので、皆汗だくで顔を真っ赤にしています。
一人、汗もふかずに熱心に子供の絵を見つめている子供がいました。
3年生だそうです。
暑いね〜プールに飛び込みたくなっちゃわない?
ううん。
え〜。プール、気持ちよくない?
僕泳ぐのが下手だから、プールが苦手なの。
おばちゃんのお友達にペルーの人が何人かいるんだけど、学校にプールはなかったんだって。でも皆で近くの池に水浴びにいって、水の中が気持ちよかったから、怖くないって。前に皆でプールに行ったら本当にみんな泳げなかったけれど、はしゃいで楽しそうだったな〜。
ふうん。ペルーっていいね。上手に泳げなくてもいいんだね。僕そういう国に生まれたかったな。
そうだね。上手じゃなくてもいいんだよ。それを今日は話しにきたんだよ。ニバルレキレはおまじないの言葉だからね。この後に教えてあげるよ。
ねえ、この絵を描いた子供病気なの?病気の子供がこんなに明るい絵を描くんだね。僕びっくりしちゃった。なんか、いいな・・。

この子は今年の夏はどんな思い出を作ったんだろうか。

日本の子供たちが、山本さんの活動されている「宇宙船地球号」だったり、ニバルレキレのメッセージから、自分が閉じ込められている価値観から自由になって、すくすく育って伸びていって、世界を美しく変えていく子供たちになってくれたらいいなって思います。

山本さんの写真展は27日(月)まで、新宿西口のエルタワー28階、ニコンプラザで開かれています。みなさんぜひ足を運んでみてくださいね。