ライアル・ワトソン博士

 ワトソン博士を敬愛する人は、日本でもたくさんいるのではないでしょうか。私もその一人。彼の「生命潮流」「アースワークス」などを昔愛読していました。ふとアフリカと行き来する生活となり、本棚の彼の本を開くと、「アフリカの白い呪術師」というのが紹介されていたことに気づきました。そこから、今さらのように、生命について教えてくれるワトソン博士が、南アフリカ共和国で育っている(生まれはモザンビーク)ということになんだか感激しました。
 そして、我が家のチビの絵本を探しに書店へ行くと、ワトソン博士の新たな本を発見!
 去年のことです。博士が亡くなられた2008年の翌年の日本での出版ということになるようです。

 タイトルは、
 「いのちの教室 アフリカの大地の教えてくれたこと

 この本には、たくさんのアフリカの動植物だけでなく、ズールー民族との日々が描かれています。彼のいのちを見つめるフィールドワークの師匠は、イボイノシシです。ワトソン博士は「私はアフリカ人」と言い切ります。
 ズールーの様々な文化のこともとてもわかりやすく説明されています。生まれたときの環境で、ズールー語の話せる(さらに感激!)ワトソン博士は、アフリカの伝統呪術医などのことも描いてくれています。基本になっているのは、彼が幼少から暮らしている中で、周囲にいた多くのズールーの人たちの暮らしや、いのちへの眼差しなので、一人一人の人にまるで私も出会って、そこにいるかのような感覚になれます。アフリカのブッシュから学んだ智恵が、その後の彼の壮大なフィールドワークのベースになったのでしょうか。なんて素晴らしいんだろう・・子供に「プレゼント」したつもりが、私の本棚に移動してしまいました。

 美しい挿絵も豊富です。マニアックな本では決してありません。古きよきズールー民族の暮らしや、南アフリカの姿をのぞくことができる大人向けの絵本、10代の子供なら十分読める内容です。彼もメッセージを少年たちに向けているような感じです。ボリュームも少ないし、ワトソンファンとして、個人的にはかなりお勧めです、児童書の棚に私の地元では置かれていました。私が買ったあとは、絵本の棚にさらに移動して入っていました・・。
 本はPHP出版からです。

 彼のあとがきの最後の一説を書きますね。


 「古(いにしえ)の戦士は今はもうズールーの国へ帰ってしまった。土の中で親族たちに囲まれて眠っているが、彼はずっと私の心の中にありありと生き続けている。彼の存在によって思い起こすのは、わたしだけでなく、きみたち全員も、そしていたるところにいるほかの人類もすべて、実のところアフリカ人なのだということだ。ほぼ500万円前、私たちの最も古い祖先は、みなここで生まれたのだ。これはここ、アフリカだ。わたしたちは一人残らず、黒人も白人も黄色人種も混血人種も、ここで初めて本当の人類になったのだ。そしてアフリカは、きみがここへ来て、ブッシュの中に出てみれば気がつくように、いまだに魔法に満ちている。
 早く来たまえ!」          〜ライフ・ワトソン〜