山本敏晴さんの写真展 

山本さんのことを知ったのは、南アから一時帰国していたとき。
出版社アートンの営業の方が、なにかのきっかけで、ニバルレキレのワークショップに参加してくださった。
その日のワークショップは、精神科デイケアで「アフリカを知ろう!」「何か病気を抱えていても、私は私。あるがままで素晴らしい。」そんなテーマで、みんなで話し合ったり、子供たちの作品や写真を鑑賞した。素朴な質問から重たい質問まで、いろいろ盛り上がった。終わってから長い手紙をくれた参加者の方もいた。
そして、デイケアメンバーから後日たくさんの手紙や寄せ書きが、南アのHIV陽性者の人たちへ、と託された。一つ一つ訳しながら、なんだかものすごく感動したのが昨日のことのようだ。
アートンの営業の人は、ほとんど何も話さないまま、作品の搬入や展示や片づけを手伝ってくれ、ワークショップをじっときいて、そして終わったときに、山本さんのシェラレオネの子供たちを撮った写真集をプレゼントしてくれた。
 後日、別の編集の女性の方も我が家へ遊びにきてくれ、どうも何か子供向けのエイズをテーマにした本の企画をいろいろと練っていたことを後できかされたのだけれど、ニバルレキレが何かアートンから作品を出すことにはならなかった。
だって、文も写真も下手だし、子供の作品も特別に芸術性が高いわけではない。ただ、ニバルレキレの作品が子供たちのウケが良く、学校のイベントでも活用されることは確かだ。

アートンの人は、同じく南アのリンポポで当時活動していた青木美由紀さんのブログの脱力感がいい、と言っていたっけ。

話を戻すと、そのときの山本さんの写真集をきっかけに、いろいろと本を読ませていただいたり、活動を拝見させていただいて、あぁ山本さんのような力や才能は全然ないけれど、コツコツやっていこう。という元気をもらってきた。

今回は山本さんが
9月14日(火)つまり今日から9月27日(月)まで
HIV/エイズとともに生きる子どもたち
 山本敏晴写真展」
を新宿のNikon Salonで行う。
10:00〜19:00(最終日は16:00)
会場に行けば山本さんに会うことができるという。

詳しくは山本さんのブログに書かれている。
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65489214.html
きちんと写真の撮影の承諾を一つ一つ丁寧にとられたり、そういった誠実な姿勢が私は大好きだ。
南アでは、何人か日本人のジャーナリストに出会ったが、けっこう勝手に写真をとっている姿も見た。もちろん人によるけれど。
ひどかったのは、ある末期の患者さんのベッドサイドにいる私のところへ、やってきた写真家と名乗る男性が写真の許可を私に求めるので、「彼は話ができます。彼と友達にもならないで写真をとるんだったら、私、友達としてあなたを殴るかも」と笑いながら言ってみた。患者さん、つまり私の友達は「写真を撮っても構わない、リラトと一緒なら」と言ってくれた。その写真家も、彼と「ありがとう」と目を合わせてカメラを構えた。
 そのとき。悲惨なことが起こった。
そのカメラマンは、ある著名な貧困やアフリカをテーマにした著作も多い女性作家がリーダーとなった視察団の一員だった。彼のカメラを構えた瞬間に廊下からその姿を見つけた女性作家が、「あら、この人撮影OKよ」と言って、それを合図にワラワラと、新聞記者・教師・厚生省職員とやらが、パシャパシャと写真を撮り始めたのだ。
 友達も、ケアギヴァーも私も、血の気が引く光景だった。それでもその作家はファーザー・ニコラスの友人であり、施設のファウンダーの一人なので、大喧嘩はできない、そうファーザーと約束しているから。
 すみません、ファーザー。今だから言うけれど私は視察団一行と喧嘩しました。

話がそれてしまった。
とにかく、アフリカでは様々な人と出会うことが多いこともあり、少なくとも職業的な肩書きでは、誰も信用しない方がいい。新聞記事にも嘘が多いこともたくさんわかった。同じ人間がこの世界を作っているのだ。自分の目で見て感じ、考えたことから、世界を理解していかなければ、と強く思った。

山本敏晴さんは、お会いしてお話したことはないけれど、とても素敵な方に違いないと思う。
ぜひ皆さんにも、新宿へ足を運んでみてほしいな、と思う。
何より、写真が素敵だから。