川べり。
映画 ポンヌフの恋人
での、浮浪者の死に方が好きだ。
セーヌ川の川べりを歩き、歩きながらいつしか
川へとその歩みが滑るように近づいていき、
そして彼はセーヌへ消えていく。
昔インドを放浪したとき。
ガンジス川のほとりで、
夜にぼうっと、たばこを吸っていた。
死体が流れてきた。
ガスのたまったその死体は牛のように膨れ上がって
最初は人間とはわからなかった。
貧しい人たちは死んだ者を、聖なるガンジス川へ
そのまま流す。
雨季で水量の増えていた川岸は私の足元まで来ていた。
薄明りの街灯の下、濁った川面が光っている。
死体は私の足元へ近づきゆっくりと旋回を続けた。
そして再び、流されていった。
3羽のカラスが、その死体の上に静かに留まり、
いっしょに、遠ざかっていく。
はかなく美しかった。
命はいつか、別の場所へと旅立つ。
何もあがくことはない。
行く道は
魂が知っている。
今日は
ある歌を聴いて
久々に飲みたくなった。
そんなわけで、焼酎。うまい。