HIV POSITIVE のTシャツ。

日曜に参加するグローバルフェスタもそうだけれど、ニバルレキレではワークショップのときには、様々な南アのHIVのことで活動している団体のTシャツを実際に着て、それのことも話の1つにすることが多い。もちろん着用するのは、自分が働いたり、活動に参加したことのある団体のものだけ。
南アはキャンペーンTシャツというのだろうか、メッセージ性が強いTシャツがアフリカ人の間ではけっこう人気があり、それは手持ちの服が少ない中で手にすることの喜びもあるようだし、自分が何かの意志表明をしているという自覚が高まるとも友人たちは言う。もともと、制服というものが好き(?)な印象を私は受けているので、その延長なのかな?とも思ったりする。子供たちは小学校のうちから制服だし、そもそも看護婦や警察官が自宅から制服で出勤するというのが見慣れるまでは不思議だった。選挙の時期が近くなれば、タウンシップでは政党のTシャツを着る人が増える。一番人気はやはり今もANCで、みんなでの集会の盛り上がりはすごい。「とにかくANC」と熟慮せずに盛り上がっている人もいるけれど、日本人よりも政治や社会問題への意識が高いように思う。あとは、労働組合なんかもおそろいのTシャツを持ってる。帰属意識や連帯感を高めるのに、Tシャツは大きな役割を持っている。

今日紹介するのは、3日(日)に着る予定のTシャツ。赤いTシャツに大きな字で HIV POSITIVE と書かれている。

これは TREATMENT ACTION CAMPAIGN   http://www.tac.org.za/community/
というアドボカシー(人権擁護)団体で、南アの全てのHIV陽性者が治療にアクセスできるように、という大きな目標のために南ア中を、世界中を牽引してきた団体だ。
ぜひサイトはPCの翻訳機能を利用してのぞいてみてほしいし、アフリカ日本協議会やアジア経済研究所の資料や書籍でかなりのこのTACのこれまでの活動の重要性を学ぶことができる。
リーダーはザッキー・アハマット。
もとは反アパルトヘイトの活動家。彼はずっと南アのHIV陽性者の生きる希望の象徴だ。
これらのことを詳しく紹介すると長くなるので、今日はTシャツの話だけ。

私はTACの一応ボランティアメンバーということになっている。ただ、いつもTACのメンバーでもあるHIV陽性者の仲間の誰かしらと事務所を訪れることが多いので、たぶんTACのスタッフは私のことも陽性者である当事者メンバーだと思っているはずだ。ボランティアのような仕事では何も呼ばれない。コールが入るのは陽性者メンバーでの活動だけ。なのでおかげさまで、なかなか機会のないTACの陽性者のミーティングや講習に参加したり、集会に出て、トイトイというデモ行進にもたくさん参加することができた。

今日写真を紹介するTシャツは、2004年にプレトリアで行ったデモで配られたTシャツ。背中側のメッセージが何かのキャンペーンやアクションごとに変化する。
たいていのキャンペーンごとにつくるこのTシャツで、背中にのるのは、治療にアクセスできなかったために亡くなった、HIVアクティビストの写真。写真と、名前とその人がエイズで死んだこと、いつ死んだのか、何歳だったのか、その命は治療にアクセスできていたら死ななかった・・ということが書かれている。
私のTシャツの背中の女性はザンディーレ・マズワネ。2004年10月にエイズによって33歳で亡くなったHIV陽性者のアクティビストだ。Tシャツにのるアクティビスト達は、皆コミュニティーで感染を堂々と公表し、陽性者支援のリーダーとなり仲間を勇気づけ活動してきた人ばかり。
このTシャツを着てキャンペーンをはりながら、陽性者の友人たちは「自分の生きた証はこのようなTシャツに残されて、そして埋もれていくのだろうか・・という思いを抱えながら、足を踏み鳴らし、歌を歌って、行進している」と言っていた。
もちろん感染を公表している陽性者は皆、たくましい精神力の人や明るい人が多い。毎回の集会で「今日はどのタイミングで新しいTシャツが配られるだろうか?」と目を光らせています。いざ、スタッフがダンボールを空けた瞬間には、誰もがダッシュ。私は一度も自分でTシャツを手に入れられたことがなく、いつもそういうことが得意な友達にとってきてもらっている。

そんな、いろいろな皆の思いや、活動の歴史がアルバムのようにつまった、このTシャツを着ていると、ワークショップでも何でも南アを語るときに私も勇気づけられる。

治療を求める活動について詳しく知りたい方の入門に最適なのは
岩波ブックレットエイズとの闘い」林達雄 著 かと思う。

出版社にはもう在庫がなく再版予定はないそうですが、実はこの本も、週末のグローバルフェスタで、入手可能。声をかけてくださいね。
では、日曜にお会いしましょう!