少年

少年は今、怪我からの回復に向かっている。刺し傷というのは、驚くような早い時期に、リハビリのために歩かされる。ということを、日本での病院勤務時代から知っていたが、南アもしかり、彼も歩かされているらしい。
南アの公立病院では、ありえない状況での退院や治療放棄が行われているので、心配ではあるが状況は仲間のKさんが知らせてくれているのでなんとか安心している。
少年のことは、次に渡航できた際に彼とよく話し合ってから、ニバルレキレのブログで彼のことを書こうと実は思っていた。ワークショップでは話題にしたことがあるが、顔が見える関係と不特定多数の人の目にふれるネット上での発信とでは、プライバシーの問題で傷つく程度も大きく違う。
他の人のことは書いていて、どうして少年は?ということ質問されるかもしれない。どうしてか。亡くなっていった患者・・というよりも友人たちには、いつか彼らのことを語ってよいかと常に了解を得てきた。少年の場合は了解を個人的に獲たのは彼の亡くなったお母さん。少年はお母さんとは全く別の命。彼自身に強い意志があるし、それは若く変わりうるという点で、少なくともプライバシーがわかるようには今は書けない。
もう1つ書けない理由は、少年が私の中では、南アのエイズ遺児のシンボルのような存在でもあり、それより何よりも出会ってからずっと家族同然につきあってきたので、南ア流にいえば本当の「ファミリー」で、息子の彼をあまりに彼を私は愛していて書けないのだ。
私の息子の誕生を待ち望んでくれた彼は、息子を弟と断言しているし、息子は彼を本当に家族だと信じている。

昨日から彼のお母さんとおばあちゃんのことを回想している。彼との会話を回想している。何が今書けることなのだろう、と問いかけている。
明日から、少し書いてみようと思う。彼のお母さんとの時間を。