エイズ遺児の話

エイズ孤児たちの行方。

南アから子どもたちの近況の連絡がありました。小学校と連携して運営しているセチャバセンターと別に、個別支援をしている子どもたちがそれぞれに迎えた新年度。かかわりが長い子が多いので、もうすぐ成人する子もいるし、思春期に入った子がたくさんいます…

南アでは1月が新年度!

南アの学校では1月からが新年度です。 ニバルレキレで支援しているエイズ孤児たちも、無事に進級し、新しい年度を迎えました。 新年度のエイズ孤児のためのプロジェクトの費用は」まだまだ不足しています。皆様のご支援をお待ちしています。 プロジェクトで…

エイズ孤児 カテホ

カテホのお母さんはマーサ。マーサは声なき死者。私が出会う前に彼女は亡くなっていた。 そして家族は、彼女のことを話題にすることは、 ほとんどなかった。 まだ悲しみをどう整理してよいかわからない、そう家族は言いました。 マーサの遺した一人娘がカテ…

フィアメーラ 小さな炎

フィアメーラ というのは 南アの女の子の名前です。意味は 小さな炎。すてきな名前でしょう? ずいぶん前に、ある出版社の人にエイズ孤児のことを原稿用紙で10枚くらいで 書いてみてください、といわれて それで、私は南アで一番最初にお友達になった フィ…

小さな炎(9)

未来はわからない。フィアメーラの未来も。 自分の未来も。 フィアメーラは、ARV治療の薬を一生飲み続けなければ ならない人生だ。いずれ、HIVエイズについて深く学び、 また悩むときがくるに違いない。 そして恋をする日も訪れるだろう。自分の育った環境に…

小さな炎(8)

ある夜、団子状態に私の上に乗っていた 小さな子どもたちが、他の遊びに散っていった隙に、フィアメーラがめずらしく、すっと私の膝の上に乗り、 いつものようにつねってくることもなく、 抱きついてきて ささやいた。「私のママになってね。」 彼女からきい…

小さな炎(7)

2004年に入り、USAからの支援や カトリック教会組織の支援、それから大学病院の医師による プロジェクトが一体となって、この施設のHIV感染孤児の子どもたちが、ARV治療を少しずつ 受けられることになった。南ア政府の動きに先駆けて、子どもたちの命を…

小さな炎(6)

親友のHIVアクティビストに相談した。HIVアクティビストとはHIV陽性者本人であって、なおかつHIV陽性者やエイズ患者のために 社会的な活動・人権活動などを行なう人たちのこと。親友は、自身が10代前半でレイプ被害に遭い、 瀕死の重傷を負うだけでなく、 …

小さな炎(5)

この世界の中にあるたくさんのマイナス表現。ネガティブな考え。陰湿なもの。 大人の使う言葉や態度を、子どもたちは知らぬ間に吸収して 自己評価につなげてしまうことがある。それは日本もアフリカも同じ。 フィアメーラのいる施設には、いろいろな人間がや…

5月7日 世界エイズ孤児デー

こんにちは。私たちはニバルレキレです。NGIBALULEKILE! = I am Special 〜あなたは あなたであるだけで すばらしい〜今日5月7日が何の日かご存知ですか?5月7日は世界エイズ孤児デー。 世界に何人のエイズ孤児がいるか、ご存知ですか?今、世界には1660…

エイズ孤児の数。

エイズ孤児について。HIV/エイズで親を亡くした子どもの数は世界で1660万人をこえている、といわれています。中でもサハラ以南には1230万人以上のエイズ孤児がおり、アフリカ社会へ及ぼす長期的な影響が心配されています。ニバルレキレの活動する南アフリカ…

世界エイズ孤児デーって?

大切なことは、いつも覚えておかなくてはいけない。でも日常に忙殺されてしまいがちな暮らしの中では世界で何が起きているかを教えてくれる、リマインダーの役割が必要だ。その一つが、「今日は何の日」のようなもの。3月11日は私たちに忘れられない日と…

お絵かきの活動中♪

ニバルレキレでお絵かき中。 久々に、写真紹介。エマプペニというエクルレニ市のはずれにあるタウンシップで、セチャバセンターという草の根活動でエイズ孤児とお絵かき。 それから、オレンジファームという、ソエトをずっと南下していった郊外にあるタウン…

小さな炎(3)

院内学級の活動でも、フィアメーラはたいていの場合にリーダーシップをとってくれる。 初めてとりくんだ水彩画では、一番乗りで大胆に絵筆を動かして、とっても明るい色の一筋の線を白い紙にのばし、にっこり笑った。そして画用紙を一杯に塗りつぶしていく。…

小さな炎(2)

多くの子どもたちは、私のたいして大きくもない、おっぱいの膨らみに関心を示す。 「これ何?」「何のためにあるの?」 彼らは粉ミルクで育っている。ずっと病院の中で過ごしているから、地域で母親が赤ん坊に母乳を与える姿を見る経験もない。 フィアメーラ…

小さな炎(1)

「小さな炎」という名前の女の子。名前はフィアメーラ。彼女のお話は、他のNGOでエイズ孤児の物語がキャンペーンに必要と頼まれて、一度書いたことがある。どうしても、それをもう一回、きちんと自分の手で誰かに伝えることが必要なんじゃないかと思ってずっ…

つないだ手を離さないこと。

ジョバーグ周辺のタウンシップには、周辺にたくさんの共同墓地が存在する。 その中を歩いていると、この国の歴史を少し垣間見ることができる。 墓地はだいたい年代ごとに区画が分かれているのだが、例えばアパルトヘイト終焉の頃、闘争の激しかった年代の区…

新しいワークショップ2月26日にスタートさせます。

今日はニバルレキレの新しいワークショップシリーズのご案内です。◆++++ WORK SHOP YINI? (イーニ?)第1回開催の案内 +++◆2011年になり1ヶ月が経過しましたが、皆さんどのような1年の歩みをはじめられましたか? ニバルレキレ事務局・アフリカ日本協…

ンポ・セゴメラの物語

第3回のワークショップが終わりました。皆で読んだ、ンポ・セゴメラの物語の要約をメルマガ編集をしながらまとめてみました。ブログを読んでくださっている方にも知っていただきたいので、紹介しますね。 これはあくまで、ニバルレキレによる要約であって、…

シンピーウェへ。

これからワークショップに出かけてきます。ンポ・セゴメラという少女の人生に皆で寄り添う時間です。心の中にシンピーウェのことがよぎります。 6月に書いた記事ですが、よかったもう一度読んでいただけたら幸いです。今年の5月に一人の少年がエイズが原因…

明日お会いしましょう。

明日は、新しく始めたワークショップ I KNOW のいよいよ第2回。 前回参加してくださった方もたくさんいらしてくださる予定。 そして新しく参加してくださる方も何人も。 とても楽しみです。 みんなで、ゆるやかにつながりあい、自分の心に何が生まれるのかを…

クリスマス会での失敗

エイズ遺児たちのためのクリスマス会の日に、誰も気にしていなかたけれど小さな失敗をしてしまった。私の手元には「割れないシャボン玉」というレシピがあった。 育児雑誌から切り抜いてずっと何かの機会に・・ととっておいたもので、まだ一度も試していなか…

エイズ孤児たち

エイズ孤児の子を二人連れて、たっぷり肉料理の食べられるSpurというレストランへ夕食へ行った。出会ったのはずいぶん前になり、二人とも年齢は10代後半。最近ではなかなか本音を聞き出すのは難しくなり、本当なら大人になってしまった私達よりも、同年代の…

ずっと涙を見せない女の子だった。 ママのお葬式の日も。 おばさんのお葬式の日も。 おばあちゃんのお葬式の日も。 パパもエイズだった。 今はママの妹が育ててくれている。 家族だけのときには泣いたのだろうか。 ママが亡くなってからは、ときどきパパ方の…

僕は人生を知り始めたんだ。

たくさん出会うエイズ遺児の中で、ニバルレキレの私達がいろいろな意味で強い絆でつながっている一人の少年がいる。 これまでにもブログで書いた、先日路上で不良たちに滅多刺しにされた少年だ。彼はその後、勇気ある心でそのショックを乗り越えながら、元気…

ザネレ (1)

少年の母の名前はザネレ(仮名)。最後に会った日、私はどうしても南アを離れなければいけなかった。そして、その時の彼女はエイズを発症していて、免疫数値CD4カウントも10を割りこみかけており、日々に死がちらついていた。私達はなんとか彼女をなじみのク…

少年の母

しばらく前に、少年がメッタ刺しにされた事件を書いたのを覚えてくださっているでしょうか。少年は持ち前の勇気ある性格で前向きにリハビリして、年度末(南アの年度末は12月)の期末試験に向けて頑張ろうと、仲間たちに励まさせてやる気になっているところ…

ンコシ・ジョンソン君

ンコシ・ジョンソン君はアフリカでエイズとともに生きる人々の小さなヒーロー。今までも。そしてこれからもずっと。 ジョンソン君の元気だった頃の写真を家に飾っているHIV陽性者の友達がたくさんいます。彼のことが書かれた本は私にも宝物です。ポスターは…

少年

少年は今、怪我からの回復に向かっている。刺し傷というのは、驚くような早い時期に、リハビリのために歩かされる。ということを、日本での病院勤務時代から知っていたが、南アもしかり、彼も歩かされているらしい。 南アの公立病院では、ありえない状況での…

ここで生きていく。

メッタ刺しにされた少年、大切な少年のニュースに今日は一日打ちひしがれていた。何かしなくちゃ・・そんな思いで一杯だった。 私にできたことは、自分には何もできないということを思い知ることだった。午後になり、少年は回復していることも詳しく知らせが…