孤児を社会で守る(1)

東日本巨大地震で親を失った子どもの数は、1995年の阪神大震災の68人を大きく上回る見通しとなっているそうです。

厚生労働省によると、今回の震災で両親を失った幼児から18歳未満の子供は1日現在で、岩手県で50人弱、宮城県で16人に上るということです。
被災地の児童相談所が、避難所を訪問するなどして震災孤児になった子供の把握を進めていますが、人手不足などで正確な人数はつかめていません。
親戚宅に身を寄せている子もいると考えられます。
今後、孤児になった子供の数はさらに増える可能性があります。

阪神大震災では、親を失った児童生徒の大半が親類や知人に引き取られたときいています。

現在、岩手県文部科学省は、東日本大震災で身寄りをなくした児童生徒のために、寄宿舎つきの公立小中一貫校を同県内につくる構想を検討していると、昨日のニュースで知りました。
すでに具体的な検討に入っているとのことで、ネットでいくつかのニュースを確認したところ、下記のような構想になっているようです。

◆まず、新しい学校の完成までは岩手県滝沢村の「国立岩手山青少年交流の家」に孤児たちを集め、寄宿舎代わりとすることも検討している。
 
◆そして震災孤児向けに全寮制の小中学校を作る

◆学校の数は孤児の数に応じて検討をすすめる。現段階では、津波の被害が大きかった沿岸部を中心に2、3校をつくりたい考え。

◆県立や複数の市町村合同で設立する形を想定している。

◆具体的な学校の形式や数、規模は、ニーズに応じて考えていく。寄宿舎だけをつくって、そこから既存の小中学校に通う形もありうる。

この震災での孤児の予測数は数百人という報道も見ました。なぜこんなに多いのか。これは、阪神大震災が早朝に発生したのに対して、平日の日中に発生した今回の地震では子どもたちの多くはまだ学校にいて下校前だったこと。そこで学校ぐるみで避難して助かったという事例が多いそうです。

一般に両親による養育を受けられない子どもが利用できる施設として、養護施設が頭に浮かびますが、
これはどうなっているのでしょうか?

それに対して見つかった報道はこのようなものでした。
岩手県の場合は、県内の児童養護施設は内陸に集中している。
甚大な被害を受けた沿岸部では、大船渡市に民間の施設が1ヶ所あるだけで、地震発生前の段階では施設にはこれら養護施設には空きがほとんどなかった。
 
「既存の児童養護施設の役割は否定しない」
「これは未曽有の災害であること」
「同じ地域の孤児たちが同じ場所で暮らし、学習できる新たな選択肢を示す必要がある。地域との縁や友達との絆が切れないようにしたい」
との文部省の見解も示されています。

そして岩手県教育委員会
「地元の人に囲まれてふるさとで育つのが、子どものためにも地域のためにもいい」と同様の考えを示しています。

文科省は、宮城、福島など他の被災自治体から同様の相談があれば検討を進めるそうです。


震災孤児に私達が何ができるのか、考えていくためにもこれらのニュースをしっかりっと追い、
皆さんにお知らせしていきたいと思います。