ノンプメレロ(4)
ノンプメレロとの会話は、
本当にゆっくりと、ゆっくりと積み重ねていったものだった。
例えば、ラマポーザには家族はいるの?ときいた日には、
「ママ。」で彼女は黙ってしまったし、
子供のことも何日もたってから「子供が二人いるの。」
とポツリと教えてくれて、
その日の会話はそれだけだった。
ノンプは別にカウンセリングを受けに、
このホスピスへ来たわけではなかった。
病院へ入院したのは、もちろん
傷つき弱った心と体を休めるため。
ノンプは疎外されてしまった「、地域」と
訣別した心を癒す必要があるように
私は感じた。
でもそのために、大切なのは、
彼女の過去を語らせてあげることなのだろうか?
彼女は何かを話したがっている気がするのに、
わからない自分がいる。
悩みながら病棟を訪ねる日々。
そんな中で、ノンプは体調が悪くなっていき、
大部屋から、二人部屋の並ぶ
ナースステーションに近い病棟へと移動になった。